小柴昌俊先生のご冥福をお祈りします。

昨日2020年11月12日夜に、小柴昌俊先生がお亡くなりになったとの知らせがあった。

小柴先生のご冥福を心よりお祈りします。

小柴先生は、私が大学院生の頃の指導教官である折戸周治先生の指導教官だった。折戸先生は小柴先生の東大理学部の教授ポストを継いだ。丁度その頃、修士学生で入ってきたのが私だった。小柴先生は、ノーべル賞受賞にもなった初代カミオカンデを用いて超新星1987Aからのニュートリノ検出の画期的なご業績の後、もっと高いエネルギーのニュートリノを用いて到来方向の決定精度の良い天文学をやりたいと夢をもっておられた。私の修士論文研究のテーマ:高エネルギーニュートリノ・ガンマ線天文検出器LENAは小柴先生から頂いた。その頃の1,2年の間、小柴先生と同じ夢を求めてご一緒させて頂けたことは大変幸せだった。当時の私は小柴先生のご要望に応えようと必死だったが多くのことを教えて頂き議論させて頂けた。とても感謝している。今も小柴先生から頂いた同じ夢を求めて研究している。

当時の、私の修士論文研究も引用されている小柴昌俊先生の講演録がある。

M. Koshiba, “Steller Neutrinos and Cosmic Rays”, Proceedings of the fifth workshop on elementary-particle picture of the Universe, Izu, November 19-21, 1990.

初代カミオカンデの成果のまとめ、特に、ニュートリノ振動の証拠となる宇宙線ニュートリノ流束欠損の緻密な解析は素晴らしい。この時既に、以下に掲げるように「ミューニュートリノの欠損は確立した。この観測された異常の有力な説明の一つは、ニュートリノ振動に求めることができるだろう。」と大発見の事実を看破されていた。それに、高エネルギーニュートリノ天文への熱情も感じられる。常に新しい実験素粒子物理の最前線を目指されたまさに先達であった。